福井市立郷土歴史博物館所蔵
子どもたちを天然痘の恐怖から救った医者
笠原 白翁
1809年(文化6)5月10日~1880年(明治13)8月23日
町医(民間の医者)、のち福井藩医、蘭学者。深見村(福井市)生まれ。当時の流行病、天然痘を予防するため、痘苗(天然痘ワクチン)を外国から取り入れるよう幕府に願い出ました。その後、京都に届いていた痘苗を福井から連れてきた子どもに植えつぎながら、大雪のなか福井に持ち帰り、種痘をひろめました。
・蘭学はオランダ語を通じて西洋の知識や技術を学ぶ学問です。
・天然痘は体じゅうにはれものができ、高熱で死ぬこともあるおそろしい病気です。江戸時代、何度も大流行し、多くの子どもの命がうばわれました。
・種痘とは痘苗(天然痘ワクチン)を人体に接種することです。これにより天然痘への免疫が高まります。白翁は自費で設立した福井の仮除痘所で種痘をはじめましたが、のちには福井藩が設置した除痘館のほか、各地へ出張して種痘を行い、越前のみならず北陸各地へ種痘を広めました。
しらべる本
- 『福井県医学史』(福井県医師会、1968年)
- 吉村昭『雪の花 笠原白翁と種痘』(新潮社、1988年)
- 『ふくいの先人たち 幕末』これき人物シリーズ3(福井県立こども歴史文化館、2012年)